『火(Hee)』桃井かおり監督

毎年イースターの頃に開催されるHKIFF(Hong Kong International Film Festival / 香港国際電影節)。この大海のようなイベントの概略記事を紙メディアの小さいスペースにまとめるのは難しかった。その話はまた後でアップするとして( 追記:まだアップしてません)。

この映画祭のインディーズ部門に、桃井かおり監督の『火(Hee)』が出品されていました。

今年のHKIFFで、私にとってイチバン印象的だった作品は、この『火』でした。

終わってから流れるエンドロールを見たらわかるけど、桃井さんは監督と主演だけじゃなくて、何から何までやっている。撮影場所も御自宅だったそうだし。

この作品の大部分は、精神科医の診察シーン。桃井さん扮する日本人女性は、アメリカで売春婦になり、事件に絡んでしまった、堕ちていく人、であるらしい。そんな彼女がドクターの前で自分語りをする。

桃井かおり『火』

写真提供:HKIFF Society

女性は精神を病んでいるのか、なんだか話の辻褄が合わなくて、見てるこちらもだんだん迷宮入り。

よくある日本映画のようなおせっかいな説明はない。ヨーロッパ映画のように観客を突き放す。

でも、ストーリーに答えが欲しい人にはそれなりに答えがみつかる。私みたいに答えがいらない人にも味わいがある。見た人の数だけ見え方がありそう。

桃井かおり『火』

写真提供:HKIFF Society

とても余韻が残って、家に帰ってもこの映画のことを思い出して考えてしまう。そしてもう一度観に行ったり、他の人と感想を話し合いたくなる。

つまり名作ってことですね。

この作品の余韻から、私はなぜか黒澤明の『羅生門』を連想してしまいました。桃井かおりの存在感は、京マチ子じゃなくて三船敏郎の方にリンクした。存在感が燃えてる。

映画監督・桃井かおりさんには、日本におさまらず(すでにおさまってない)羽ばたいていただきたいです(すでに羽ばたいている)。だけど、世界で認められて、日本も騒ぎ出して…というよくあるパターンじゃなくて、もっと予想もしないような奇想天外な成功をしてほしい。これから誰と組んでどんな作品を生むんだろう。恐るべし桃井かおり。

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