“Claude Monet: The Spirit of Place” モネ展の様子

香港で初めての本格的モネ展が7月11日に終了しました。さみしいなぁ。

日本語紙で紹介させてもらったご縁もあり、私はオープニング前から何度か会場に足を運びました。それでも今になって「もっと通えばよかった」と思う、誰もが楽しめるように工夫された良い展覧会でした。面白かった。

印象派の代表的存在で史上有数の風景画家クロード・モネ(1840-1926)。「The Spirit of Place」と題したこのモネ展では、モネが滞在した場所による区画分で作品が展示されていました。

モネといえば、晩年の「睡蓮」が有名ですが、この睡蓮はもちろんのこと(贅沢を言えば、睡蓮は複数見たかった)、普仏戦争前のアルジャントゥイユ駅が描かれた「La Gare d’Argenteuil」(1872年、Conseil Dé partemental du Val d’Oise所蔵)などフランスの風景だけでなく、ロンドンの霧の中の国会議事堂「Le Parlement de Londres」(1904年、Palais des Beau-Arts所蔵)や、ベニスでの「Gondla in Venice」(1908年、Musée des Beaux-Arts所蔵)など、フランス以外の風景画も興味深かったです。各地の雰囲気がある。だから「The Spirit of Place」ですね。

会場は基本的にフラッシュなしなら写真撮影可能でした。私もメモ用に作品を撮らせてもらいましたが、ここにはのせない。モネとの出会いは、実物作品からであってほしい。ネット上で小さい写真になった絵を見てほしくない。ま、いまどきネットでいくらでも見れますが。ささやかな抵抗として。

この展覧会のキュレーターBruno Girveau氏による作品のアレンジはとても素敵でした。その一方で、別室に香港側で企画したと思われるアトラクションがあり、そこをオープン前に見学した時、私は「ちょっとノリが軽すぎるんじゃ…」と引き気味でした。宣伝の仕方もポップすぎるように思えたし。でもオープン後の様子を見て、これはみんなが楽しめる良い企画なのだと認識を改めました。

ある平日の昼間のモネ展の様子を紹介します。

会場は、郊外の新界地区にあるHong Kong Heritage Museum(香港文化博物館)。都心部から1時間ぐらい離れたところ。博物館は最寄駅から歩いて数分のところにあります。駅から会場まで、程よい間隔で、モネ展に向かう人たちが連なっていました。

Hong Kong Heritage Museum

細い橋を歩いて川を渡る。なかなか情緒あります。これぐらいの間隔で、モネ展に向かう人がとぎれない。

Hong Kong Heritage Museum

橋から見たHong Kong Heritage Museum(香港文化博物館)の建物。

Hong Kong Heritage Museum

入り口のところに、ブルース・リーの巨大な像があった。あちょー

博物館のロビーは老若男女でにぎわっていました。幼稚園から高校生ぐらいまで学校の団体がいろいろいて、外国人のグループも。

物価が高い香港ですが、ここは公立の博物館なので入場料がとても安い。モネ展は通常の展覧会より高いにもかかわらず、一番高くて20ドル(300円弱)。政府の補助が手厚いのです。

香港モネ展

ぞろぞろぞろ。とぎれることなく人々がモネ展に向かう

この現代的なモネ展の看板は、印象派から現代アートへの橋渡し的な要素もあるモネによく似合っていると思ったけど、そういう意図で作られたのかな?

作品は普通に美術展ぽいディスプレイ。たぶん日本の展覧会よりもずっと近くで見られたと思います。混み合っていたけれど、みんなマナーよく入れ替わって見ていたので快適でした。

学生たちは資料コーナーに密集して調べ物。たぶん学校にレポートを出さなきゃいけないのでしょう。

作品コーナーとは別の展示室にアトラクションのコーナーがありました。香港の人々にモネを身近に感じてもらうための苦心の企画がどんなだったか説明しましょう。

例えば、晩年のモネの自宅の庭にあった、日本庭園を模した睡蓮の池にかかる橋をこんな風に再現。

香港モネ展

マルチメディア庭園。(写真提供:Hiro)

実際のジヴェルニーのモネ邸をこんな風に再現。

香港モネ展

モネ邸の室内を再現。自分の部屋のように座ってみたりできる。ちょっとチャチくてIKEAのショールームのような気もしたけど、とにかく体験できる。

食卓にはテーブルセッティングがしてあり、ここの企画はさすが食の街、香港。テーブルに置いてあるタブレットにモネの食事メニューが書かれていて、好きなメニューを選ぶと、お皿にそれが表示されるという…。

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モネの食事

やはりフランス料理ばかりですね。飲み物やデザートもありました。

そして、モネの作風に影響を与えたという日本画。

香港モネ展

浮世絵もちゃんと飾ってある。このコーナーけっこう人気でした。

じっとしていられない子供たちのためには、お絵描き小屋がありました。壁に自由に描いていい。

ii-iro.com

小さい子供用だと思うけど、大人も描いてた

これを遠くから見ると、意外と印象派っぽく見えてくる。モネの絵を見た後にここに来た人々の群集心理がなせる技だろうか…と思いをはせてしまった。

展示室で作品をガン見している芸術ツウの人から、お絵描き小屋で遊んでるおこちゃままで、いろんな人が思い思いに楽しんでいて、とても幸せ感のある空間でした。

そんな2016年の香港のモネ展、良い展覧会でした。

香港返還後20年近くになる最近の香港にはいろいろと暗雲がたちこめておりますが。この展覧会の雰囲気は、私が知ってる香港の良い面がよく表れていました。いろんな人が好きなように過ごしている平和な香港。久しぶりにこの雰囲気を味わえてうれしかったです。

Claude Monet: The Spirit of Place
2016年5月4日〜7月11日
Hong Kong Heritage Museum(香港文化博物館)