Grüße aus Fukushima ( フクシマ・モナムール)

香港のゲーテ・インスティテュート主催の映画祭KINO/16の最終日に、ドリス・デリエ(Doris Dörrie)監督の『Fukushima, Mon Amour』(フクシマ・モナムール/Grüße aus Fukushima)が上映されました。上映の前後にデリエ監督の舞台挨拶とQ&Aがありました。

デリエ監督は香港が好きで何度も訪れていること、日本とのご縁はさらに深いこと、そして当作品について「心配しないで。重い作品ではありません。」と紹介していました。これ大事です。重すぎるのはやめよう。実際大変に深刻なことなんだけど、でも被災地にいたっていなくたって、誰もが日々を生きなければいけないのだから。

背中に自分の過去を背負いながら、福島に慰問に訪れたドイツ人マリー(Rosalie Thomass)。自分の心の問題を解消できていないせいか、仮設住宅に暮らす人たちと心を通わせることができない。そんなマリーと、仮設住宅の住民である芸者のサトミ(桃井かおり)との交流の物語。マリーとサトミは、地震と津波に破壊された住宅で共同生活を始める。二人はろくに言葉が通じないし、人種も年齢も個性も全然違う。でも何か共通するものを抱えている。だから響きあう。

桃井かおりさん。あなたは世界のオンリー・ワン。今回もいい味でています。

ロザリー・トーマスさん演じるマリーは、言葉が通じないところに一人で飛び込む若いドイツ人女性。ストレスフルな境遇だよなぁ。その感じわかるわぁ。切ないわぁ。ただでさえ心が弱ってるのになんでそんなことするのよあなたは、そんなことするから…ごにょごにょ(ネタバレ防止)。

福島にとってとことん余所者であるマリーを通した、とても個人的なストーリーだから、この映画を見た誰もが物語に入っていける。

上映後のデリエ監督とのQ&Aでは会場から活発に質問が出ていたし、監督は「日本に原発がいくつあるか知ってる?」「ここから一番近い原発はどこ?」と、どんどん切り込んでくれて、もっとお話を聞きたかったのだけど、会場の時間制限のためしぶしぶ終了。私たちも一旦はそのまま帰るつもりで映画館を出たのですが、監督にどうしても聞きたいことがあって、やっぱり引き返しました。

幸いにもデリエ監督はまだそこにいたので、話しかけてみました。

映画の中で、とても日本的な発想のエピソードがあったのだけど、どうしてあれを思いついたのですか?あの発想は西洋文化圏でも通じるのですか?(ネタバレ防止のため伏せておきますが、日本人にはあたりまえだけど、他の文化圏の人にはあたりまえじゃなさそうなことがあったのです。)

デリエ監督はにっこりして、「通じますよ。同じ人間だもの。私も自分の家族について、同じような記憶をもっています。」と答えました。それから少しお話ししたけれど、とても明るくて素敵な方でした。

この映画の内容について、詳しく説明する気が起こりません。とにかく、見てみてください。静かに心に響く良い作品です。デリエ監督が福島を訪ねて出会った人々が、その御本人役を見事に演じている。そして照明はすべて自然光なのだそうです。自然なのです。

Grüße aus Fukushima

フクシマ・モナムール/Fukushima Mon Amour
2016年 ドイツ
監督:Doris Dörrie
出演:桃井かおり、Rosalie Thomass、ほか

<芋づる式映画鑑賞のススメ>
Hiroshima Mon Amour
ヒロシマ・モナムール/二十四時間の情事
1959年 フランス・日本
監督:Alain Resnais
出演:Emmanuelle Riva、岡田英次、ほか

フクシマ・モナムール上映後、会場から監督に、この映画との関係について質問がでました。鋭い。フランスから来日した女優が日本人男性と恋に落ちる。広島の原爆のことを伝える映画です。

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福島を世界から切り離さないように。

原発の危険を忘れないように。